1970年代前半に誕生したヒップホップ文化(DJ、ブレイクダンス、グラフィティ、ラップ)。その中でヒップホップ音楽(主にDJ、ラップ)は、1980年代後半~1990年代前半(1987年~1994年)にかけて黄金時代を迎えたと言えます。
今回は、1991年のヒップホップの私的名盤を紹介します。
それでは第10位から…
10位:A Wolf In Sheep’s Clothing / Black Sheep
ニュー・スクール・ヒップホップを代表するヒップホップ集団、ネイティブ・タン所属。ドレス(MC)とミスタ・ロング(MC)によるヒップホップ・デュオ、ブラック・シープの1stアルバム(全米30位)。
渋いジャズを中心に構築されたトラックにドレスとミスタ・ロングのラップの掛け合いが最高にマッチ。ジャングル・ブラザーズやデ・ラ・ソウル、ア・トライブ・コールド・クエストとも一味違った黒くディープな名盤。
おすすめの曲は、「⑪Flavor Of The Month」「⑰Black With N.V. (No Vision)」「㉑The Choice Is Yours (Revisited)」。
評価:★(良作)
9位:De La Soul Is Dead / De La Soul
ジャングル・ブラザーズやア・トライブ・コールド・クエストと並びニュー・スクール・ヒップホップの基礎を築いたデ・ラ・ソウルの2ndアルバム(全米45位)。
名盤1stアルバム「3 Feet High and Rising」に引き続き、ステツァソニックの一員としても活躍したDJのプリンス・ポールがプロデュース。ニュー・スクールらしい明るくて楽しいヒップホップ。米ソース誌でマイク5本を獲得した名盤。
おすすめの曲は、「⑦A Roller Skating Jam Named “Saturdays”」「⑮Millie Pulled A Pistol On Santa」「㉑Ring Ring Ring (Ha Ha Hey)」「㉗Keepin’ The Faith」。
評価:★(良作)
8位:Naughty By Nature / Naughty By Nature
トレッチ(MC)、ヴィニー(MC)、ケイ・ジー(DJ兼プロデューサー)からなるヒップホップ・グループ、ノーティー・バイ・ネイチャー1stアルバム(全米16位)。1990年代ヒップホップの名門レーベル、トミー・ボーイ・レコーズからリリース。
ハード・コアな見た目とは異なり、ポップでキャッチャーなトラックが印象的な作品。ジャクソン5の「ABC」やボブ・マーリーの「No Woman No Cry」等の大ネタを大胆にサンプリングした名盤。
おすすめの曲は、「③O.P.P.」「④Ghetto Bastard (Everything’s Gonna Be Alright)」「⑨1, 2, 3」「⑬Uptown Anthem」。
評価:★☆(良作+)
7位:Step In The Arena / Gang Starr
DJ・プレミア(DJ)とグールー(MC)からなる知的ヒップホップ・デュオ、ギャング・スターの2ndアルバム(全米121位)。
ヒップホップ史上最高のトラック・メーカー、DJ・プレミアの若き日の才能が詰まった名盤。ジャズを基調とした渋めのトラックにDJ・プレミアのスクラッチと淡々としたグールーのラップ。派手さの無いグールーのラップがDJ・プレミアの唯一無二のトラックを際立たせるスルメ・アルバム。
おすすめの曲は、「②Step In The Arena」「⑤Who’s Gonna Take the Weight?」「⑧Love Sick」「⑭Just To Get A Rep」。
評価:★☆(良作+)
6位:Ain’t A Damn Thing Changed / Nice & Smooth
グレッグ・ナイス(MC)とスムース・B(MC)によるヒップホップ・デュオ、ナイス&スムースの2ndアルバム(全米141位)。ヒップホップの名門レーベル、デフ・ジャムからリリース。
グレッグ・ナイスとスムース・Bによる達人レベルのラップの掛け合いを存分に味わえる作品。超ヒップホップ・クラシックの1stアルバム「Nice & Smooth」に負けず劣らずの大名盤。
おすすめの曲は、「①Harmonize」「②Cake And Eat It Too」「④Sometimes I Rhyme Slow」「⑧How To Flow」「⑨Hip Hop Junkies」「⑩One Two And One More Makes Three」。特に⑨はヒップホップ・クラシックと呼べる名曲。
評価:★★(傑作)
5位:The Low End Theory / A Tribe Called Quest
ニュー・スクール・ヒップホップを牽引したネイティブ・タン所属、ア・トライブ・コールド・クエストの2ndアルバム(全米45位)。
ジャズをサンプリングしたミニマルな低音トラックとQ・ティップ(MC兼プロデューサー)の落ち着いたラップがミックスして別次元へ。メンバーのファイフ・ドーグ(MC)との掛け合いも最高。ア・トライブ・コールド・クエストの最高傑作と呼び声も高い名盤。米ソース誌でマイク5本獲得。
おすすめの曲は、「①Excursions」「⑦Vibes And Stuff」「⑨Check The Rhyme」「⑪Jazz」「⑭Scenario」。
評価:★★☆(傑作+)
4位:Fruits of Nature / The U.M.C.’s
ハス・Gとクール・キムからなるヒップホップ・デュオ、ザ・UMC’sの1stアルバム。90年代に数々のヒップホップ・クラシックを生み出した伝説のレーベル、ワイルド・ピッチからリリース。
ジャズを基調としながらポップでカラフルなトラックにハス・Gとクール・キムのゴキゲンなラップがマッチ。ウータン・クランとも馴染みが深いRNSがプロデュースに関与した1990年代ヒップホップの隠れた名盤。
おすすめの曲は、「①One To Grow On」「④Blue Cheese」「⑥Never Never Land」。④はヒップホップ・クラシック中のクラシック。
評価:★★☆(傑作+)
3位:Niggaz4life / N.W.A.
イージー・E(MC)、ドクター・ドレー(MC兼プロデューサー)、DJイェラ、MCレンが所属するギャングスタ・ラップ・グループ、N.W.A.の2ndアルバム(全米1位)。
看板ラッパーのアイス・キューブ脱退後の作品でしたが、後の「G-ファンク」創始者ドクター・ドレーの類まれな才能には関係なし。「G-ファンク」以前のドクター・ドレーのトラックが堪能できる名盤。
おすすめの曲は、「①Prelude」「③Niggaz 4 Life」「⑤Appetite For Destruction」「⑦Alwayz Into Somethin’」「⑱The Dayz Of Wayback」。
評価:★★☆(傑作+)
2位:Organized Konfusion / Organized Konfusion
ニューヨーク・クイーンズ出身、ファロア・モンチ(MC)とプリンス・ポー(MC)によるカリスマ・ヒップホップ・デュオ、オーガナイズド・コンフージョの1stアルバム。
ジャズやファンクをベースとしたセンス抜群のトラックとテンポの良いの2MCによるラップがマッチ。メイン・ソースの「Breaking Atoms」と並ぶ東海岸ヒップホップ・アンダーグラウンドの大名盤。
おすすめの曲は「②Fudge Pudge」「③Walk Into The Sun」「④Releasing Hypnotical Gases」「⑦Prisoners of War」。②はDITC所属ラッパーのO.C.をフューチャー。
評価:★★★(大傑作)
1位:Breaking Atoms / Main Source
ラージ・プロフェッサー(MC兼プロデューサー)、サー・スクラッチ(DJ)、K・カット(DJ)のメンバーからなるヒップホップ・グループ、メイン・ソースの1stアルバム。メンバーのラージ・プロフェッサーは、DJプレミア、ピート・ロックと並びヒップホップ3大プロデューサーの1人。
ゴールデン・エイジ・ヒップホップの中でも名盤中の名盤。米ソース誌ではマイク5本を獲得。ジャズやソウル・ミュージックをサンプリングしたトラックは温かくてファンキー。ヘタウマなメインソースのラップが癖になります。
おすすめの曲は、「①Snake Eyes」「②Just Hangin’ Out」「③Looking At The Front Door」「⑤Just A Friendly Game Of Baseball」「⑦Peace Is Not The Word To Play」「⑧Vamos A Rapiar」「⑩Live At The Barbeque」。⑧はヒップホップ・3大プロデューサーのピート・ロックとの共作、⑩はナズがヒップホップ史に初登場した名曲。
評価:★★★(大傑作)
おまけ①:Mr. Hood / KMD
ゼヴ・ラヴ・X(MC兼プロデューサー)、サブロック(DJ)オニックス・ザ・バースストーン・キッズ(MC)によるヒップホップ・グループ、KMDの1stアルバム。
ジャズやファンクを基調としたセンス抜群のカラフルなトラック。現在ではアンダーグラウンド・ヒップホップ界のカリスマMF・ドームがゼヴ・ラヴ・Xとして発表した名盤。
おすすめの曲は、「②Who Me? (With An Answer From Dr. Bert)」「⑨Nitty Gritty」「⑪Hard Wit No Hoe」「⑮Peachfuzz」「⑱Gasface Refill」。⑱はボーナス・トラック。
評価:★(良作)
おまけ②:The Ruler’s Back / Slick Rick
スリック・リックの2ndアルバム(全米29位)。
評価:★(良作)
おまけ③:All Souled Out / Pete Rock & C.L. Smooth
ピート・ロック&C.L.スムースのデビューEP。
評価:★(良作)
おまけ④:Derelicts Of Dialect / 3rd Bass
サード・ベースの2ndアルバム(全米19位)。
評価:★(良作)
おまけ⑤:Quik Is the Name / DJ Quik
コンプトン出身のMC兼プロデューサー、DJ・クイックの1stアルバム(全米29位)。
評価:★(良作)
おまけ⑥:A Future Without A Past… / Leaders Of The New School
バスタ・ライムス(MC)、チャーリー・ブラウン(MC)、ディンコ・D(MC)、マイロ(MC)からなるヒップホップ・グループ、リーダーズ・オブ・ザ・ニュー・スクールの1stアルバム(全米128位)。
評価:★(良作)
おまけ⑦:2pacalypse Now / 2Pac
ヒップホップ史上最大のカリスマ、2パックの1stアルバム。
おすすめの曲は、「②Trapped」「⑥Words Of Wisdom」「⑨If My Homie Calls」「⑩Brenda’s Got A Baby」。
評価:★(良作)
まとめ
2位:Organized Konfusion / Organized Konfusion
3位:Niggaz4life / N.W.A.
4位:Fruits of Nature / The U.M.C.’s
5位:The Low End Theory / A Tribe Called Quest
6位:Ain’t A Damn Thing Changed / Nice & Smooth
7位:Step In The Arena / Gang Starr
8位:Naughty By Nature / Naughty By Nature
9位:De La Soul Is Dead / De La Soul
10位:A Wolf In Sheep’s Clothing / Black Sheep